**FIRE（Financial Independence, Retire Early）**とは、「経済的自立を達成し、早期にリタイア（引退）する」というライフスタイルを指す言葉です。これは、単に早期に仕事を辞めることだけを意味するのではなく、自身の生活費を労働収入に頼ることなく、不労所得や資産運用からの収入で賄える状態を作り出すことを目標とします。
目次
FIREの基本的な考え方
FIREの根底にあるのは、以下の考え方です。
- 経済的自立（Financial Independence: FI）: 自分の生活に必要な費用を、給与所得など労働に頼らず、投資からの配当金や家賃収入などの不労所得で賄える状態。
- 早期リタイア（Retire Early: RE）: 経済的自立を達成した後に、従来の定年よりも早く労働から解放され、自身の時間と人生を自由に使える状態。
FIREを達成するためには、一般的に以下の3つの要素が重要とされます。
- 高い貯蓄率: 収入に対する貯蓄の割合を極めて高く設定し、資産形成を加速させます。
- 支出の最適化: 自身の価値観に基づき、本当に必要な支出を見極め、無駄を徹底的に削減します。
- 資産運用: 貯蓄した資金を積極的に投資に回し、不労所得を生み出す仕組みを構築します。特に、**「4%ルール」**と呼ばれる考え方がFIREの基準としてよく用いられます。これは、年間支出の25倍の資産を築き、その資産を年率4%で運用できれば、理論上は資産を減らさずに生活できるというものです。
なぜFIREを目指すのか？
FIREを目指す動機は人それぞれですが、主なものとしては以下のような点が挙げられます。
- 時間の自由: 労働時間から解放され、趣味、家族との時間、自己啓発、ボランティア活動など、本当にやりたいことに時間を使いたいという願望。
- ストレスからの解放: 仕事や人間関係のストレス、通勤の負担などから解放され、精神的な平穏を得たいという思い。
- 選択肢の増加: お金のために働かなくてもよくなり、キャリアやライフスタイルにおいて、より多くの選択肢を持てるようになること。
- 人生のコントロール: 自分の人生を他人に依存せず、自分でコントロールしたいという欲求。
- 消費主義からの脱却: 物を多く所有することよりも、経験や時間、精神的な豊かさを重視する価値観へのシフト。
FIREの種類とアプローチ
FIREには、その目指すライフスタイルや資産規模によっていくつかの種類があります。
- Fat FIRE（ファット・ファイヤー）: 従来の生活水準を維持、あるいはそれ以上に豊かな生活を送れるだけの十分な資産を築いてリタイアする。
- Lean FIRE（リーン・ファイヤー）: 質素な生活を前提とし、必要最低限の支出で生活できるだけの資産を築いてリタイアする。
- Barista FIRE（バリスタ・ファイヤー）: 完全には労働から引退せず、週に数日だけパートタイムで働いたり、趣味の延長で収入を得たりしながら、不足分を投資収入で補う。社会とのつながりを保ちつつ、ゆるやかに働くことを選択するスタイル。
- Coast FIRE（コースト・ファイヤー）: 若いうちに一定額の資産を築き、その資産を複利で運用することで、将来的に定年時に十分な資産が形成されるようにする。その間は、生活費を稼ぐために働くが、追加の貯蓄はしない。
- DINKs FIRE（ディンクス・ファイヤー）: 夫婦共働き（Double Income No Kids）で高い貯蓄率を実現し、早期リタイアを目指す。
FIREを達成するための課題と注意点
FIREは魅力的な目標ですが、達成にはいくつかの課題と注意点があります。
- 高い貯蓄率の維持: 非常に高い貯蓄率を長期間維持するには、強い意志と節制が必要です。
- 資産運用のリスク: 株式市場の変動や経済状況の変化により、資産価値が減少するリスクがあります。特に、インフレが進むと資産の実質的な価値が目減りする可能性も考慮する必要があります。
- 医療費・介護費: リタイア後の医療費や介護費など、予期せぬ大きな出費に備える計画が必要です。
- 社会とのつながり: 仕事を辞めることで、社会とのつながりや目標を見失う「燃え尽き症候群」のような状態になる可能性も考慮する必要があります。
- 計画の柔軟性: 人生は常に変化するため、FIRE計画も柔軟に見直し、必要に応じて調整していく姿勢が重要です。
FIREは、単なる金銭的な目標ではなく、自分の人生をどのように生きたいかを深く考えるきっかけを与えてくれる概念です。計画的に資産を築き、賢く運用することで、より自由で充実した人生を送るための選択肢の一つとなり得ます。あなたも、自分のFIREプランを考えてみませんか？
